原子力市民委員会 特別レポート1
『100年以上隔離保管後の「後始末」』
2017改訂版
福島第一原発事故後のサイト内の「後始末」作業は、政府・東京電力が策定した「中長期ロードマップ」に基づいて行われている。しかし、事故後6年を経た現在も大きな進展は見られず、試行錯誤の状態である。この事故処理作業は、スリーマイル島やチェルノブイリの事故事例とは基本的に異なり、複雑な開発項目を必要とし、かつ、遂行過程で方針を再検討するという意思表示もされている(「中長期ロードマップ」に記入された多数の「判断ポイント」)。
この事業には、すでに多額の国費がつぎ込まれており、今後の廃炉費用の増大も見込まれ、その負担をどのように行うかが大きな政治問題になっている。けれども、費用の全貌や長期の労働管理をどうするかといった事業方針は十分に議論が尽くされていない。
もっとも大切なのは、既存の技術に基づいた確実な長期計画を策定することである。現状計画は多くの未知の開発技術をあてにしていて、すでに目標の遷延を余儀なくされている。ひとまず、希望的な仮定を排して堅実で合理的な工程を立てるべきである。また、市民の側からも積極的に案を提出することが望まれる。
本レポートは、2015 年6 月に発表したものであるが、2 年間の経過を踏まえて、疎漏のあった部分に加筆して、改訂版として発行する。
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