第5回「 新潟県はなぜ福島原発事故『3つの検証』を骨抜きにしたのか 」
— 市民検証委員会の意義と柏崎刈羽原発再稼働の問題
福島第一原発事故は、なぜ起きたのか。あの事故から学ぶべきことは何なのか。 政府や国会が設置した事故調査委員会は、2013年ごろまでにそれぞれ報告書をまとめました。しかし、事故原因については、未解明の課題が数多く残されたままでした(『原発ゼロ社会への道』2022 の第2章第1節、特にpp.108-110を参照)。こうした課題について、独自に検証を続けてきたのが新潟県でした。
新潟県では、2002年の東京電力の検査不正・トラブル隠しの発覚後、「技術委員会」を設置し、これが2007年の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災状況の検証に重要な役割をはたしてきました。福島原発事故後、「技術委員会」は、東京電力からの説明を受けるだけでなく、事故を起こした福島第一原発の建屋内部の視察を敢行するなどして、事故原因の分析および事故対応を検証するとともに、原子力災害発生時の情報伝達、情報発信、重要事項に関わる意思決定のあり方なども検証の対象としてきました。柏崎刈羽原発の再稼働を議論するには、福島原発事故の徹底した検証が欠かせないというのが、当時の泉田裕彦知事の姿勢でした。
この姿勢は後任の米山隆一知事にも継承され、2017年からは、「健康・生活委員会」と「避難委員会」が新たに設置され、技術委員会を含む「3つの検証」を総括するための「検証総括委員会」も2018年に設置され、池内了さんが委員長に就任されました。
ところが、花角英世知事に交代してから、新潟県の姿勢が徐々に後退し、「検証総括委員会」は開催されず、期待された役割を果たせないまま、今年3月、委員の任期切れに際し、新潟県側がすべての委員を再任しなかったことにより、「検証総括委員会」は消滅することになりました。新潟県は9月、3つの委員会の報告要旨を束ねた‟形ばかり”の「総括報告書」を公表しましたが、池内了さんは、委員長としての責任を果たすために独自の検証報告をまとめるとともに、市民との対話集会を県内各地で開催し、福島原発事故の教訓をふまえて柏崎刈羽原発の再稼働や防災体制を問う活動を続けています。
今回のオンライントークでは、新潟県の「避難委員会」の委員であり、「検証総括委員会」の委員でもあった佐々木寛さんから、あらためて新潟県における「3つの検証」の意義を解説していただきます。その上で、元検証総括委員長の池内了さんが今月下旬にも公表する予定の「特別検証報告」と、新潟県内各地で対話集会を開催するなどして展開しつつある「市民検証委員会」の動きについてもお話していただきます。ぜひ多くのみなさんにご参加いただき、議論を深めたいと考えています。
「市民検証委員会」については、こちらからご覧ください。 https://shiminkenshouiinkai.jimdosite.com また、『高木基金だより』No.59の巻頭インタビューで、池内了さんにお話を伺っていますので、ぜひあわせてご覧ください。 http://www.takagifund.org/activity/newsletter/index.html
日 時: 2023年11月27日(月)17:00~18:00
場 所: オンライン開催(zoom)
プログラム:
1.講演 佐々木 寛さん(新潟国際情報大学国際学部教授、元 新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会委員)資料 池内特別検証報告 市民検証委員会のパンフレット
2.コメント・質疑応答 後藤政志(元東芝、原子力技術者、鹿児島県「川内原子力発電所の運転期間延長の検証に関する分科会」委員、CCNE原子力技術・規制部会長)
(この企画は、後日Youtubeで公開します。Zoomのウェビナー形式で開催し、ご質問やご意見は当日の質疑応答(Q&A)もしくは、後日メール・FAXなどで受けつけます)
申し込み: 下記よりお申込みください。 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zYeARDL9Rf2xEveyYY1JVQ
※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。
主 催: 原子力市民委員会
お問い合わせ:email◎ccnejapan.com[◎を@に変えてください] TEL/FAX 03-6709-8083