連続ウェビナー第5回のテーマは「福島原発事故における人権の問題を国連特別報告から考える」です。
国連人権理事会の政策ガイドラインのなかには「国内避難に関する指導原則」があり、そこでは国内避難民を「武力紛争、暴力、人権侵害、自然災害、人為災害などがもたらす事態の結果として、あるいはこれらの事態による影響を回避すべく、家や居住地から逃れたり離れたりすることを強制されるか、または余儀なくされた人々や集団であって、国際的に認められた国境を越えていない者」と定義しています(『原発ゼロ社会への道』2017 p.42(コラム:国際法上の「国内避難民(IDPs)」としての原発事故避難者)参照)。原発事故によって避難している人も国内避難民になります。
2022年9月、「国内避難民の権利に関する特別報告者」のセシリア・ヒメネス・ダマリーさんが、日本の福島第一原発事故による国内避難民を調査するために公式訪問し、その報告書が2023年7月に出されました。
特別報告者とは、国連人権理事会から任命をされ、福島原発事故後の人権状況について調査・報告する専門家で、2012年からアナンド・グローバーさんをはじめとする特別報告者が訪日調査をして日本政府へ勧告を出してきました。
今回は、福島原発事故によって避難している人々を、国際人権法と国連の特別報告からどのように捉えるべきなのかについて紹介して頂き、検討します。11月の東京でのICRPの総会に向けた学習の場として、これまでの連続ウェビナーにはたくさんの方にご参加いただきました。引き続き多くのみなさんのご参加をお待ちしています。
日 時: 2023年10月19日(木)17:00~18:00
場 所: オンライン開催(zoom)
プログラム:「福島原発事故における人権の問題を国連特別報告から考える」
<お話> 「国際人権法からみた福島原発事故対応の問題点—避難者の権利を中心に」 / 徳永恵美香さん(大阪大学、特任講師) 司会: 清水奈名子(宇都宮大学教授、原子力市民委員会委員)
申し込み: 下記よりお申込みください。 https://keio-univ.zoom.us/webinar/register/WN_A4z5E2bjRtuSUApG_N3i5g#/registration
※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。
お問い合わせ:email◎ccnejapan.com[◎を@に変えてください] TEL/FAX 03-6709-8083
福島原発事故後に適用された年間20mSv基準などのもとになったICRP(国際放射線防護委員会)の基本勧告が、2030年頃に改訂される予定です。
そのICRPが今年11月6~9日の間、東京で総会(ICRP2023)を開きます。原発事故の被災地で開催されるICRP2023が、被災者や市民、事故後の状況を把握する日本の研究者が広く参加し、事故の経験を踏まえた放射線防護のあり方を検討できる場となるよう、私たちはICRPに対して具体的な提言を重ねましたが、残念ながら受け入れられませんでした【経緯はこちらからご覧ください】。そのため現在、ICRP2023の開催と同時期に、市民主体となるシンポジウムを他団体と連携して企画しています。
福島原発事故後の放射線防護の最大の問題は、市民の人権や意向を無視した方策がとられてきたことにあります。2030年頃に改訂される基本勧告が原発事故の教訓を反映しないまま、改悪されることのないよう、市民も改訂プロセスに関わり、ICRPの勧告について学び、理解していくことが重要です。
そこで、11月に企画中のシンポジウムに向け、ICRPとは何か、その勧告とは何かなど、基本的な事柄からはじめて、ICRPの勧告を読みつつ批判的に検討し、市民の観点からの放射線防護のあり方を検討する連続ウェビナーを開催することにしました。「第一回」、「第二回」、「第三回」についてはこちらをご覧ください