原子力市民委員会 特別レポート1
『100年以上隔離保管後の「後始末」』
作成: 福島事故「後始末」の対案プロジェクトチーム
執筆: 筒井哲郎
福島第一原発事故後のサイト内の「後始末」作業は、政府・東京電力が策定した「廃炉ロードマップ」(最新版は 2013 年 6 月 27 日付)に基づいて行われている。しかし、事故後 4 年間を経た現在も大きな進展は見られず、試行錯誤の状態である。この事故処理作業は、スリーマイル島やチェルノブイリの事故事例とは基本的に異なり、複雑な開発項目を必要とし、かつ、遂行過程で方針を再検討する
という意思表示もされている(「廃炉ロードマップ」に記された「判断ポイント」)。
この事業には、すでに多額の国費がつぎ込まれており、今後も公費注入が継続することは間違いない。けれども、建前は私企業たる東京電力の中で処理され、全体の予算や労働管理をどのようにしていくかといった事業方針は開示されていない。業務遂行の意思決定は東京電力内の「廃炉カンパニー」と国際廃炉研究開発機構(IRID)を中心とする組織の中でなされている。しかし、国費を投入するからには情報開示をし、より広く国民的な英知を集めてなされることが望ましい。IRID による「技術提案募集」は数回なされているが、そのテーマ設定は既定の「廃炉ロードマップ」に掲げられている項目の実施方法に限られていて、方針自体についての議論はなされていない。もっとも大切なのは、目標の優先順位を決定することである。それについて、広く国民の意見を聞くべきである。また、市民の側も積極的に案を提出することが望まれる。
(本文「1 提案の主旨」より)
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