2020年2月17日
原子力市民委員会は、伊方原発の再稼働に際し、2016年7月に、「声明:愛媛県は伊方原発3号機再起動への同意を撤回し、安全対策の徹底的な再検証を行うべきである」をまとめ、愛媛県庁を訪問し、伊方原発3号機の再稼働への愛媛県としての事前了解を撤回するよう求めました。
この声明で私たちは、原子力規制委員会の新規制基準とその運用が安全対策として不十分であり、愛媛県の「原子力安全専門部会」も機能障害を起こしており、四国電力の不十分な安全対策を容認してしまっているということを具体的に指摘しました。
その後、2016年8月に伊方原発は再稼働されましたが、2020年1月17日、広島高等裁判所は、伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件において、
①中央構造線の評価に関して、佐田岬半島北岸部に活断層が存在する可能性があるにもかかわらず、四国電力は、震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価を行っていないこと、
②火山の影響評価に関して、四国電力が想定した噴出量の約3~5 倍の噴出量を考慮すべきであり、四国電力による降下火砕物の想定は過少であること
を認め、伊方原発3号機の運転差止を命じました。
愛媛県の「原子力安全専門部会」は、四国電力による新規制基準適合性審査への申請内容等を検証し、2015 年8月の報告書で、四国電力による地震動評価および火山影響評価を「妥当」と判断していたことから、愛媛県および「原子力安全専門部会」としても、今回の広島高裁決定を真摯に受け止める必要があります。
一方、伊方原発では、保安規定逸脱(2020年1月6日)、制御棒引き抜き(1月12日)、燃料集合体落下信号発信(1月20日)、所内電源喪失(1月25日)、使用済燃料の一時的冷却停止(1月25日)と立て続けに安全性を脅かす深刻なトラブルが発生しています。
これらはいずれも重大事故につながりかねないものであり、四国電力に原発を安全に運転する能力があるのか、根本的に問い直す必要があります。
このような状況をふまえ、私たちは、愛媛県および伊方原子力発電所環境安全管理委員会に対して、次の通り、佐多岬半島北部の活断層調査や火山影響評価の見直し等の5点を要望しました。
■2020-02-17_愛媛県への要望書 |
2011年3月の東日本大震災からまもなく9年になろうとしていますが、福島第一原発は事故収束にはほど遠く、いまだに過酷事故が継続している状況にあります。伊方原発で万一、福島第一原発のような事故が起こればどのようなことになるでしょうか。私たちは、愛媛県および伊方原子力発電所環境安全管理委員会に対して、福島原発事故のような過酷事故は、絶対に起こしてはならないということを再確認し、四国電力に対して、厳しく対処するよう強く求めたものです。